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高森明勅
2011.6.27 14:04

『日本の10大天皇』の読み方

すでに門弟の中に『日本の10大天皇』を読破したという方が何人かいらっしゃるとか。

よほど熱心なのか、それとも暇をもて余しているのか。

って失敬。

読んで頂ければお分かりのように、この本には、皇室を敬愛する人なら普通、敬遠して余り取り上げないような話題を、じゃんじゃん載せている。

本の初めも、いきなり「天皇暗殺」から書き始めているし。

他にも、皇室の血統が途中で断絶していないかとか、天智天皇の弟宮と皇子が争った壬申の乱、僧の道鏡が天皇になりそうになった事件、天皇が島流しになった承久の変、天皇が思いっきり貧乏した話など。

そそっかしい人なら、皇室のアラ探しでもしているのか、と思ってしまうかも(その上、文体も随分くだけているし)。

でも勿論、そうではない。

そうした一見、皇室にとって「不都合」とも受け取られかねない事実に、むしろありきたりの皇室賛美論が見落としている、皇室の本当の“凄さ”が潜んでいることを伝えたかったのだ。

私の周囲で読了した人の話によると、読み進むにつれて、だんだん読みやすく、面白くなったとか。

第7章以降はほとんど一気に読み通してしまったという人も。

前半でアップアップしている人は、もう一息。

頑張って。

中には「後ろから読んでスムーズに読了」というケースも。

お主、なかなかやるな。

まぁこれも確かに、一つの読み方だろう。

但し一応、私なりに第1章から、伏線を張ったり、流れや繋がりを持たせつつ、書き上げている。

だから、後ろから読んだ人は、もう一度、初めから順にざっと読み返すと、申し分なし(でもさすがに、そこまで暇はないか)。

小林さんは「わしのために書いてくれたような本」と評して下さった。

まことに光栄だ。

当日までに、もし可能なら、興味のある章のいくつか(一つでも二つでも)に目を通してもらって、本番ではそこから一旦「離れて」、自由に議論できれば、と願っている。

勿論、全く「白紙」の状態で参加して当日、会場で販売する(らしい)『日本の10大天皇』を全部買い占めるってのも、ありだと思うぞ。

とにかく本を読んだ人も読まない人も、皇室に僅かでも関心があれば、寄っといで〜。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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